昨年よりmaruが(財)福岡市文化芸術振興財団と共同事業として行っているエイブル・アート事業。
いよいよ、来週11日(祝・水)より「Lifev Map -私とワタシ-」と題し、企画展を開催いたします。今回も作品展と同時にさまざまな関連イベントを企画しております。
Life Map -私とワタシ-
今回の「Life Map」は3名の「生きる」姿のみえる作品を紹介します。
その人の私的な世界、他の人が見てもよく分からないかも知れない。
よく分からないけれど、なにかひっかかる。
そのひっかかりに向き合う時間や距離をたどることが「Life Map」のねらいです。
―――さっきまでの私と今のワタシ
―――私の中にある別のワタシ
そのアイダにある『揺らぎ』を見つめ直す時間を、さまざまな企画で提供します。
この展覧会で、「一人ひとりの『地図』が、少しだけ塗りかえられる」そんな小さな変化を期待します。
開催概要
【展覧会名】Life Map -私とワタシ-
【開催期間】2009年2月11日(祝・水)~3月29日(日) 10:00~20:00
※ 無休 入場無料
【会 場】ギャラリー アートリエ
福岡市博多区下川端町3-1 博多リバレイン 地下2階
【出展作家】中尾 君夫(東京)、谷本 光隆(長崎)、岡崎 陽子(佐賀)
【関連企画】ギャラリートーク、アートパフォーマンス、映画上映会、鑑賞ワークショップ
【主 催】(財)福岡市文化芸術振興財団、福岡市、NPO法人まる
【協 力】エイブル・アート・ジャパン、紺屋2023
【お問合先】文化芸術情報館アートリエ <(財)福岡市文化芸術振興財団>(担当:宮崎)
〒812-0027 福岡市博多区下川端3-1 博多リバレイン 地下2階
TEL 092-281-0081 FAX 092-281-0114
E-mail plaza-a@ffac.or.jp
フライヤーのダウンロードはこちらから → Life Map(PDFファイル)
作家プロフィール
中尾 君夫(なかお きみお)
東京都在住。
10代で発病し、病院のレクレーションで暇つぶしに「絵らしい絵」を描いていたが下手なので、満たされなかった。元来、冗談が好きな性質だったので、お笑いネタと簡単な絵柄を描いてみたら、周りからウケてそれ以来、嬉々として量産する。
「我が国の問題」から「くだらないダジャレ」まで、なんでも描いた。また、キビシイ時をしのぐ思考や幻聴めいた頭の中のうるさい声などからも「漫我」にした。そうすると救われる。「漫我」というのは、自我と他我(他人の中の自分)の間にあるものとして自称している。
描かずにはいられない。「マイナスの魅力」「負の輝き」といったものを目指している。今回は「即興漫我」に挑戦する。
谷本 光隆(たにもと みつたか)
長崎県在住。
東京理科大学を中退後、昼夜逆転の生活を送る。
極度の疲労、不眠などからノイローゼ状態となり病院で「思考障害」と診断される。その後アルバイトを転々とするがなかなか続かず、病気になる前から続けていた絵画を6年のブランクの後に描き始め、その後コラージュブック制作へと変化する。
現在まで数多くの個展やグループ展に出展。また今年は、サンフランシスコにある「San Francisco Center for the Book」での企画展にも出展されている。「『治る 治らない』は、自分にとってどうでも良い。一度きりの人生、自分にしかできない表現を模索しつつ、百歳まで続ける」と作品を制作することが生きがいとなっている。
岡崎 陽子(おかざき ようこ)
佐賀県在住。
北海道札幌市で生まれ、幼い頃からレゴブロックやパズル、教材誌の付録などに興味をもつ。
紆余曲折のち、九州大学工学部に入学するも病にて中退することとなる。遺跡発掘などのアルバイトを転々とし、心理学教授の勧めで20歳くらいから絵を描き始める。現在は病院のデイケアに通いつつ、アパートで一人暮らしをしている。治療として取り組んだ絵画だったが、今では自宅にて2~3時間ほぼ毎日描いている。
2002年より家族の影響から短歌を書くようになり、現在でも新聞社へ毎週投稿し、常連となりつつある。人を喜ばせたいという気持ちより、人から褒められたい。できれば「奇妙」「不思議」などという言葉で・・・。
関連企画
ギャラリートーク
【日 時】2009年2月21日(土) 15:00~16:00
【会 場】ギャラリー アートリエ
【定 員】30名
【参加費】無料
【出演者】谷本光隆、岡崎陽子
【聞き手】樋口龍二
【内 容】今回の出展作家2名を招き、作品制作に至るまでのエピソードや、
表現活動の変化などの話をもとに、参加者を交えたトーク形式で実施。
アートパフォーマンス
【日 時】2009年3月7日(土)・8日(日) 14:00~17:00
【会 場】ギャラリー アートリエ
【参加費】無料
【出演者】中尾君夫
【内 容】中尾氏が得意とする即興4コマ漫画をライブで披露。
1対1で向き合い、お題をいただき、即興で4コマ漫画を描き上げるパフォーマンスを実施。
映画上映会
フライヤーのダウンロードはこちらから → 遠足(PDFファイル)
【作品名】遠足 Dar Ausflug
【上映日】2009年3月15日(日)
【時 間】1回目上映 13:00~14:45
2回目上映 16:00~17:45(1日2回上映)
【会 場】あじびホール
【定 員】1回の上映につき120名
【入場料】前売料金 一般:800円、学生・障害者 500円
当日料金 一般: 1,000円、学生・障害者 700円
【内 容】精神に障害のある作家10名が共同生活しているオーストリア、
ウィーン郊外グギング村の「芸術家の家」。
そこで繰り広げられる奇妙で優しさにあふれる日常を、
秋から冬のウィーンを背景に美しく静謐な映像の中に描き出すドキュメント作品。
【前売チケット購入先】
① メガチケットアートリエ
福岡市博多区下川端町3-1 博多リバレイン地下2階 TEL 092-281-0081
② NPO法人 まる
福岡市南区野間3-19-26 TEL 092-562-8684
※ 前売チケットは店頭販売のみとなっております。
13:00上映用チケット
16:00上映用チケット
監督・編集/五十嵐久美子
撮影/山崎裕 録音/吉田一明 音楽/近藤等則 宣伝美術/川上修
プロデューサー/橋本佳子・長窪正寛 エグゼクティブプロデューサー/河野透
現像/イマジカ 協力/オーストリア航空
製作/デジタルメディアエンタテインメント・ドキュメンタリージャパン
1999年/日本/イーストマンカラー/16mm/86分
鑑賞ワークショップ
【日 時】2009年3月22日(日) 15:00~17:00
【会 場】ギャラリー アートリエ
【定 員】20名(要申し込み)
【参加費】無料
【ファシリテーター】ギャラリーコンパ
福岡で視覚障がいのある人たちと、目の見える、見えないといった互いの個性を活かし、
一緒にアートをシェアしているワークショップグループ。
【内 容】視覚に障がいのある人たちと個々の感性でコミュニケーションを愉しみながら
五感でみる鑑賞ワークショップを行います。
お申し込み・お問い合わせ先
文化芸術情報館アートリエ <(財)福岡市文化芸術振興財団>(担当:宮崎)
〒812-0027 福岡市博多区下川端3-1 博多リバレイン地下2階
TEL 092-281-0081 FAX 092-281-0114
E-mail plaza-a@ffac.or.jp
関連企画展
【展覧会名】「Life Map -extend-」
【開催日時】2009年3月23日(月)~4月5日(日) 11:00~20:00
※ 無休 入場無料
【会 場】紺屋2023 2Fギャラリー
【出展作家】中尾 君夫(東京)、谷本 光隆(長崎)、岡崎 陽子(佐賀)
【内 容】出展作家3名の作品を生み出しているそれぞれのアトリエを会場で再現します。
(財)福岡市文化芸術振興財団は「エイブルアート事業」として2004年より毎年、国内外の障害のある作家の作品を集め企画展を行っており、2007年より特定非営利活動法人まるが業務委託を受け企画をすることとなりました。前回は「Life Map -コダワリノトキ コダワリノバショ-」と題して、地元福岡で活動する作家5名の作品を中心に企画展を開催し、今回の事業も共同で企画・運営を行うこととなりました。
近年では、各地で障害のある人のアート作品が発表される場が増えてきていますが、知的・身体に障害ある人たちの作品がほとんどで精神に障害のある人たちの作品発表の場は極端に少ないのが現状です。
海外では、精神障害者の作品を「アウトサイダーアート」や「アールブリュット(生の芸術)」という枠の中で美術的にも評価しており、フランスの画家ジャン・デュビュッフェ-Jean Dubuffet- (1901-85)は、『創造性の源泉からほとばしる真に自発的な表現』と作品を賞しています。それに対して日本では、医療や治療という枠の中におさめられ、社会との関わりを断たれていた傾向があり、福祉施策の中でも近年ようやく精神障害者も含めた就労やケアなどの地域支援なども立ち上がり始めてきていますが、医療や治療といった枠内におさめられていたことにより、社会だけでなく当事者にも「自由に表現できる」といった領域までには至っていません。
このように社会との接点が極めて少なかった「精神障害」「病」などの既成の価値観を捉えなおすためにも「精神障害者」といわれる人たちのアート作品に焦点をあて、作品から伝わる彼ら彼女らの物語と向き合う機会をつくりたいと考え、今回の開催に至りました。
選出した3名のアーティストは「これからも絵を描き続ける」と明言しています。そのような姿勢からも作品そのものからも「芸術治療」(アートセラピー)の枠を越え、「生きる」という意味を私たちに投げかけてくれます。
今回も開催期間中には、作家本人が出演するギャラリートークやアートパフォーマンス、「アート」「生活」「ケア」が融合した理想的な住居を舞台にしたドキュメント映画「遠足」の上映会、視覚に障害のある人たちとの鑑賞ワークショップなど、たくさんの関連企画をご用意させていただいています。
今回の企画展で、障害のある人たちと社会との間をアートの力でもう一度見なおす機会をつくると同時に、われわれ市民がさまざまな価値観を揺さぶる立体的なムーブメントへと発信していきたいと考えていきたいと思います。
最後に、今回の企画展開催にあたりご支援・ご協力いただいた、たくさんのみなさまへ心から御礼申し上げます。